“消費のつなぎ人”がつむぎだす、住民総意のイベント
少し生々しい話になりますが、イベントは何のために開催するかというと、存在をアピールし来場動機や参加意欲を喚起するためです。しかし第一義的にはそうでも、最終的には消費してもらって企業の利益に結びつけなければ意味がない~。福祉やボランティアを除けば、そうではないでしょうか。
イベントの失敗と成功には大きな理由があるはずですが、消費してもらって企業や主催者が利益を得るということは、イベントと企画者あるいは開催企業とのあいだに、“消費のつなぎ人”がいなければならない~。
そんな議論がいま話題になっています。プロの広告代理店の担当者が、外部からやってきて提案するイベントではなく、内状をすべて知っている内部の人間が中心になって、「こりゃあ利益をもっと出さなきゃダメだ。町が衰退してしまう」という危機感のもとで立上がり知恵を絞り出す人。
そういう人のことを、“消費のつなぎ人”と呼んでいるのだそうです。話題になっているのは都市部ではなく、限界集落に近い地方の山間の町。簡潔に言ってしまうと、集落で精魂込めて作った作物なのに、売る場所がなかった、運び出すルートがなかった、知らしめる手段もなかったなど。
ナイナイ尽くしだったのを、役場の人間がその集落に出向し、2年かけてビジネスモデルをつくってしまったという話です。これはテレビのニュースにもなりました。
“普通ではなかったのぼりの使い方”が村の再興に
そこで大活躍したのがのぼり旗でした。しかもそののぼりの使われ方が普通とは少し違っていたのがユニーク。作物を売る場所として、道の駅ならぬ村の駅をつくり、そこにのぼりを立てたというだけなら良くある話。
消費のつなぎ人は、それだけではなく、その作物を作った耕作地の畑とそこまでの道々にものぼりを立てたというのです。ご本人はニュースの中で、それを消費のゴールデンルートと呼んでいました。それがまた話題に。
周辺地域から車に乗って買い付けにくる人が次々と増え、実際にそのゴールデンルートをたどって畑まで足を向ける人が多くなったというのです。自然と真摯に向き合って暮らすそんな町の日常に惚れ、とうとう移住者まであらわれた。
家族の移住で村の人口までが増え、消費のつなぎ人の思惑は想像以上にすごい実りを得たというのがザックリしたストーリーです。
消滅の危機を救った村再興のストーリー
●最初は「村の駅」の販売所に、ごく普通に立てたのぼり旗だったが、それでは物足りないと知恵を絞った。
●どうせなら買い出しに来る近郊の人たちを、耕作地の畑まで案内してしまおうと、村の駅から畑までの道しるべにのぼりを使った。
●畑に行く人たちには農業体験や畑のオーナーにもなれる仕組みを作った。それをタイトルにしたのぼりも作った。
●畑を体験し新鮮な野菜に触れたことで、若い家族の移住者が出だした。古い民家を改造して、改造費以外はタダで家を提供している。
●村の人口が増えた。しかも若い世代の親子世帯なので、将来が見込めるようになった。現在は移住者のためのカフェやレストラン事業を創出中。
世の中には、「のぼりなんか使ったって人集めの役には立たない」と言う人もいますが、固定概念を捨てて知恵を絞れば、使い道は無限にあるのです。のぼりが村の人口を増やすまでの、立派な立役者になってしまったのですから。